江戸時代はどんな職業がエリートだった?
徳川将軍家、有力大名や奥女中、遊郭経営者や高級遊女、三井家などの豪商商人を除けば、江戸で高収入だった職業は限られてきます。
人気だけではなく、そこからアートが広まった、江戸の二大スター職業をご紹介します。(一両=18万円換算)
「 歌舞伎役者 」は女性に大人気
年間給料 500両〜(9000万円)
江戸時代の人気歌舞伎役者は、1000両も年間で稼ぐ、花形職業でした。
11月1日から新しい歌舞伎役者の披露などを行う、顔見世興行が始まります。そこで1年間の専属契約を興行元と結びますが、1年間の出演料が千両にも達する役者を「千両役者」と呼びました。
その時期は、江戸全域から女性が殺到して、公演があくまで朝から長い行列ができたと言われています。
メディアとしての 浮世絵文化
この歌舞伎役者人気にあやかって、歌舞伎を題材とした多くの版画が刷られました。似顔絵だけではなく、人気舞台の名場面を取り上げるなど行い、地方の人には、江戸のトレンドを知るメディアにもなった、江戸の人気土産の一つでした。
「 相撲取り 」に江戸の男性が熱狂
年間給料 50両~(900万円〜)
「一年を二十日で暮らすよい男」と、力士たちの暮らしぶりをうたった川柳があります。江戸時代は、春・秋の2場所の合計20日間相撲をとれば、一年分の生活費以上を稼げる、高給取りでした。
江戸後期では、人気者は大名のお抱え相撲取りになり、年間50~80両は稼げたと言われています。
江戸時代では寺社の本堂など、造営や修復に要する費用を捻出するために、開催した相撲が行われました。寺社の境内において、2階席、3階席まで設けられた巨大な仮小屋が建設されて、ここに大勢の観客が訪れ観戦しました。
相撲から始まった「番付表」
番付(ばんづけ)とは相撲における力士の順位表のことです。多くの人々に力士の名前や序列を知ってもらえるように、木版印刷の番付表が発行されました。
江戸時代には、この相撲番付の形式をまねた、様々な番付が生まれます。江戸の有名な料亭や、地方の温泉など、様々なものを順位付けした番付が作られました。
番外編:江戸庶民
年間給料15両〜20両(270万円〜360万円)
比較をわかりやすくするため、庶民の給料もみてみましょう。
なんと歌舞伎役者は、庶民の10倍以上、相撲取りは3倍以上も年収をもらっていたことに。この庶民との給料の差からみても、歌舞伎役者と相撲取りの人気ぶりがよくわかります。
参考文献:「CGで蘇る江戸庶民の暮らし」(2018年) 小学館
江戸を舞台にしたメタバース
大相撲がメタバースで実現!?
2023年の正式オープン予定のメタバース空間「edoverse(江戸バース)」にも、江戸で人気だった相撲が関係しています。
2022年8月には、大相撲の元大関・小錦でタレントのKONISHIKIさんが、「江戸バース」のアンバサダーに就任しました!これをきっかけに、大相撲がメタバースで実現するのか注目です。
また今後は、歌舞伎役者や、歌舞伎業界の参入にも期待が高まります。